広島県廿日市市 吉和冠山 (1,339.0m)
Part15(潮原コース)


2003. 9.28

しっかりと植物を観察しながらゆっくり登山、展望も素晴らしかった今日の冠山

ローソク岩からの冠山展望



朝から気持ちの良い快晴の登山日より。
吉和冠山に仲間内で植物観察しようということで潮原登山口へ。
到着してみると、まだ車がいないとこを見ると、われわれが最初の登山者なのかな?
頭の上を見ると大きなマユミの木にピンクがかった実がたくさんあるじゃあないか。実がはじける頃はさぞきれいなことであろう。・・・こりゃあさい先がいいぞ。

準備を整えて出発進行。さっそくいつもの橋を渡ると面白いな〜、エゾエノキが石を根本に抱き込むようにして立っている。ウスゲクロモジもあるぞ。葉がやや大きめで薄く表面の葉脈が凹んで毛がない。特殊な分布と言われているが広島県では山に行くと結構よく見られるけれど。
そして足下にはオオヤマハコベ。こんなのが山口県ではRDBなんだって、本当?。
今の時期はさすがに少々花は寂しい。アキチョウジやキバナアキギリもわずかに残り花があちこちに見られるが。
沢に沿って進むとやっとでてきたウスゲタマブキ。一見オオカニコウモリに似ているが葉は大振りでハート形、花は一列に同じ方向を向いてつく。葉の付け根にムカゴが着くのが特徴だが、この山には多いものの他の山ではあまり見ない草本だ。
登山道沿いの清い流れにも涼しさを感じる。一旦橋を渡って右岸を行くとオオバショウマもすでに花も終わり咲き跡が見られるだけ。
来る度に少しづつ朽ちていく小さな橋を再び左岸に渡る。この沢筋の道は緩やかな坂道でちょうど日陰となって気持ちもよい。
おやおや、マタタビの実はもう色づいて食べられそう。誰かさんはうまいうまいと食べていた。
常連のミヤマハハソも黒い実をつけて次々と姿を見せる。
足下を見ると一見ツリバナに似ているが柄は2cm位と短いサワダツ。すでに実もはじけているが目立った朱色は目を引きつける。
秋の林床では必ずと言って良いくらい見られるモミジガサも出てきたぞ。葉裏の葉脈からテバコモミジガサではないかと話しもあったが、家に帰って調べてみたがよく分からずその道の人に聞いたらこの山で一般に見られるのは、やはり普通のモミジガサのようであった。
沢沿いにはシオジ・サワグルミ・オオバアサガラ・アサガラ・チドリノキ・カツラ・トチノキ・アブラチャン等の沢を好む木々が目立つ。
岩肌に申し訳程度にダイモンジソウが残り花をつけて待っててくれた。葉を見ると切れ込みがあるのでナメラダイモンジソウだ。
あまりにもキョロキョロしながらゆっくり歩いているので後から来る人にどんどん追い抜かれるがいつの間にかクルソン谷の分岐に到着。


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ウシオ谷の沢沿いの登山道 クルソン谷との分岐を左に


沢を渡ってクルソン谷に道をとる。カツラの木のほとりにはクロタキカズラのたくさんの赤い実。そしてヒロハヘビノボラズが少し色づいて実をつけていた。こんなとこにもこの木はあったのだ。
単調な二次林に覆われた足下は石のゴロゴロした歩き難い登り道が続く。これが結構長いからいやだね〜。

石伝いに沢を右岸に渡ると自然林にはいり少し道も急坂になる。
シオジ・サワグルミに加えてブナも姿を見せる。ツクシガシワは今や葉ばかりが目立つて何かと思う。アケボノシュスランもすでに枯れ花で残念しごく。登るにつれてキハダ・ミズメの大木も多く見られるようになる。
ササ床となってオオイタヤメイゲツ・コハウチワカエデ等のカエデ類が多くなるとブナの木のある国体コースとの分岐に到着。こんなにゆっくり歩いているといつになったら山頂に着くことやら。
支尾根への登りには仲良くオオバアサガラとアサガラが並んで立っている。この尾根の上からの冠山頂の眺めがいつも楽しみだったが、年を追って木々が伸びて視界も悪くなった。それだけこちらも年を取っているということか。
一旦支尾根の小さなピークを越えて平坦なトラバース道を行く。
トラバース道はいわゆる二次林の雑木林。今の時期は木の実のオンパレードでミヤマガマズミ・オオカメノキ・クロズル・ツリバナ・コマユミ等美しい赤い実があちこちに見られて結構楽しめる。

やっとこさ冠山への登りに取り付きブナの原生林に入る。ブナ・ミズナラ・カエデ類がこれ見よがしにあちこちに見られ深山らしい雰囲気に。あ・あ・あ、ここの林床のアケボノシュスランもすでにアウト。
かわいいフウリンウメモドキの赤い実が次々と現れて心もなごむ。
秋も深まると美しい紅葉の世界が広がるところだが、これにはまだちっと早過ぎるが森林浴は十分満喫できる。
やっとこさ山頂に着いたら丁度お昼時。一体登り始めて何時間かかったのだろうか。こんなゆっくりペースはこの山に登って以来初めての記録である。
既に結構たくさんの登山者が思い思いにくつろいでいる。我々もお腹の虫がすでに泣き初めているので早々に弁当に飛びつく。

お腹も膨らんだ所で、ここまで来たからにはまずは素晴らしい眺めでも満喫しなくてはと、山頂北の岩上にある唯一の展望台に行って見る。
お〜、今日は眺望はグッドでなかなか良い。台風一過通過以来あまり霞もかからなくてどこの山に行っても良い眺め。
安蔵寺山から大神ケ岳、恐羅漢山・臥竜山・十方山・立岩山・小室井山、そしてその背後の山々を一望できる。


再び沢を右岸に渡ると急登の樹林
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登山道を登るとキハダ・ミズメが多くなる なだらかな中低木の雑木林の中をトラバース
冠山への道に取り付くとブナ林となる
山頂までプナ林の急登が続く 山頂には多くの登山者が
山頂西から北側展望(左から広高山・大神ケ岳・五里山・広見山・恐羅漢山・臥龍山等)
山頂北から東側展望(左から十方山・立岩山・女鹿平山・小室井山等)
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大神ケ岳展望 恐羅漢山展望
臥龍山展望 十方山展望


十分眺めを満喫し、早々に往路を下山する。下りは重力に逆らわなくてもいいのでどんどん足が前に進む。
おっと、登りに気ずかなかったヒナノウスツボが足下にかわいい茶色の花をつけている。1cm以下の小さい花なのでルーペを出してよく見なくっちゃあこの良さが分からない。
山を下り、トラバース道を横に移動して国体道分岐に到着。ここからササ床の国体コースを登って尾根道をクルソン岩への道をとる。
途中ミズメに実がびっしりと。こんなに近目で見られるのも珍しい。はるか頭上には既に赤く熟した実がたくさんついたアオハダの高木も。
クルソン岩付近にはオトコヨウゾメが多いがこれも可憐な赤い実をつけている。
まずは冠山の一等展望台のローソク岩に登ってしばし360度の眺望を楽もう。岩の上からの眺めはさすが満点。一眠りしたくなるようないい気分である。
そして11月になると目の前にアズキナシの赤い実が一面に広がるところだが・・・、ん!、少し時期が早いものの今年は木に実が着いていないじやないか、今年は裏年?。まあ、これだけの眺めが見れればこれで良しとしよう。

下りは国体コースをと考えていたが、膝に自信が無いと言う声も出て急遽クルソン谷に下ることに。急な坂道で足場はあまり良いとは言い難いが、直滑降してクルソン谷登山道に再び出る。そのまま往路を登山口に向けてひすら歩く。
山は3時を過ぎるとすでに谷筋の樹林の中は薄暗くなる。やっとこさ登山口に着いたら既に他には1台の車しか残っていなかった。
今日はゆったりと時間をかけた贅沢な冠山登山。色々と草木の勉強もできて満足、満足の一日であった。


ローソク岩からクルソン岩・冠山展望
ローソク岩から北東展望(女鹿平山・立岩山・吉和の集落・もみの木森林公園・天上山・湯来冠山等の展望)
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クルソン岩からの急な下り道 クルソン岩からの下り道
クルソン岩からクルソン谷登山道合流点

 [ルート]

 今回は時間は参考にならな 
 いので記載しません。

 潮原登山口(700m)
  ↓
 クルソン谷分岐(750m)
  ↓
 国体コース分岐(1140m)
  ↓
 吉和冠山頂(1339.0m)
  ↓
 国体コース分岐(1140m)
  ↓ 国体ルート
 クルソン岩(1205m)
  ↓ クルソン谷直登ルート
 クルソン谷合流(1030m)
  ↓
 潮谷分岐(750m)
  ↓
 潮原登山口(700m)

 (注)標高は参考値。



山の草花
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アキチヨウジ キバナアキギリ
フシグロセンノウ オオヤマハコベ
サンヨウブシ サラシナショウマ
ウスゲタマブキ
モミジガサ
ミズタマソウの実 ナメラダイモンジソウ
ユキザサの実 ナルコユリの実
ヒナノウスツボ
コバノフユイチゴの実 キララタケ
ハンショウズルの果穂

山の木
ミツバウツギの実 ウスゲクロモジの実
アブラチャンの実 ミヤマハハソの実
チドリノキの実 クロモジの実
サワダツの実
マタタビの実 ヒロハヘビノボラスの実
ミヤマガマズミの実 オオカメノキの実
ツルウメモドキの実 ヤマブドウのムシコブ?
クロタキカズラの実 フウリンウメモドキの実
ツリバナの実
コマユミの実 ヤマシグレの実
クマシデの実 オトコヨウゾメの実
アオハダの実 ミズメの実
タンナサワフタギの実