夏を彩る八幡湿原の花
H20. 7.25〜 8. 5





臥龍山の麓に広がる八幡高原

暑い夏が続くこの時期は、山や谷に行っても花は端境期であまり見られない。
このような今はやはり花が多いといえば草原や湿原に行ってみるのが一番楽しいのではなかろうか。

広島県の北西部に位置する北広島町八幡地区は臥龍山の麓に広がり、標高約750〜800mに湿原が点在している。近年この時期にあまり訪れていなかったので、久しぶりに顔をのぞかせてみた。

この集落に入るとやはり下界よりは少しは涼しい感じがするものの今年はさすがに暑い。
まず目についたのがあちこちに広がるビッチュウフウロウの群落。イヨフウロウに比べて紅色の網目模様の花びらがひときわ目立っている。
その近くでトモエソウとヌマトラノオが群生しておりちょうど花盛りだ。
トモエソウは鮮やかな大きな巴の形の黄色い花をつけているが、この花は1日でしおれてしまい日替わりメニューで次々と花が咲いていく。
ヌマトラノオはオカトラノオより小さくて葉柄もなく湿地で見られる。花穂はほとんど傾くことなくすくっと立っており意外と美しい。

ユウスゲもあちこちで見られるものの、お昼近くになったせいか花を閉じてしまい愛想がない。
八幡の常連は何と言ってもノハナショウブ。昔はこの湿原いっぱいに花を咲かせていたとか。牧野富太郎も感激したという。そして湿った場所に多いコバギボウシは八幡でなくとも目にはいる。
歩くにつれて次々といろいろな花が目にはいりなかなか足も進まなくなってしまう。

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ビッチュウフウロウ トモエソウ
ヌマトラノオ ユウスゲ
ノハナショウブ コバギボウシ

湿気のあるところではハンカイソウ、クサレダマ、ヒメシロネ、チゴザサ、ヒメナミキ、ミソハギなど色とりどり。
ハンカイソウやヒメシロネは時期が少し遅いのかきれいな花が少ない。クサレダマ、チゴザサ、ヒメナミキはビンゴ、ミソハギちょっとこれからが盛期か。
湿地を敷き詰めたモウセンゴケはすくっと立った花柄がたくさん伸びて先に小さな白い可愛い花をつけている。
チゴザサに混じってたくさんのヒメナミキが小さな花をつけている。ミソハギも鮮やかな濃いピンクの花を咲かせてこれみよがしだ。
ただ、いつもは水量もある湿原を歩いても例年に比べて今年はほとんど雨も降らないので水が少ない。

ハイカンソウ クサレダマ
ヒメシロネ モウセンゴケ
干上がった尾崎沼
チゴザサ ヒメナミキ
ミソハギ ミソハギ

こんなところでもラン科の仲間があたこちで見られ美しい姿を見せてくれた。
純白の女王はミズチドリ、水辺で千鳥が飛んでいるようだ。年を追うごとに少しづつ少なくなってきているのは残念なことである。そして、これも少なくなってきた柿の実に色が似ているカキラン、派手な姿で人目をひきつける。
他にも目立たない保護色をしたトンボソウの仲間もいくつか見られるが、昨年までよく目についていた場所にミズトンボの姿が見えず掘り起こされた土跡が痛々しい。心ない人による盗掘は何とかならないものか、腹立たしい。
サギソウは少し時期が早いのか未だ姿を見せてくれていなかった。
珍しくはないがなかなか可愛らしいのがネジバナだ。道端のほとりに2本3本と並んで、自分も見てくれとばかりに赤と白の鉢巻を巻いてアピールしているようだ。これでもランの仲間である。

ミズチドリ ミズチドリ
カキラン ネジバナ

涼しそうな水のたまっている池のなかにはアサザやコウホネの黄色な花が、浅い水溜りなどではオモダカやヒメミクリも咲いている。
オモダカやヒメミクリ(だろう)も色々なところで目に入った。
オモダカ アサザ
ヤマトミクリ ヒメミクリ
コウホネ コウホネ

そして草原に出るとサワヒヨドリ、コオニユリ、ノカンゾウ・・・など、たくさんの花々が目を楽しませてくれる。
ただ、最近この地でもよく見られるようになったのが外来植物オオハンゴンソウ。これが群生している場所では遠目には黄色いジュータンを敷き詰めたようで結構綺麗だが、これは一番の嫌われ者である。
繁殖力も強く他の植物をかき分けてすぐに広がってしまう。この外来種ほどあっという間に広がって他の植物にまで影響を与えてしまうものは少ない。今では規制植物となったので勝手に植えないでほしいものだ。
この八幡の千町原にある大群生地のこの花も、最近は繁殖を食い止めるため夏になると刈ってしまうようである。

未だ夏だと言うのにもうアキノタムラソウは最盛期、八幡は足で歩いてみると多くの花たちに出会えることができるし、新しい発見もあるのではないだろうか。
ただ、最近貴重な花が訪れるたびに少なくなってきているのを実感する。大切なこの地域の自然をいつまでも自然のままの姿で残していきたいものである。

この時期見られたその他の花たち、あとは主なものを写真で見てもらうことにしよう。
サワヒヨドリ サワヒヨドリ
ノカンゾウ コオニユリ
カワラナデシコ ヒルガオ
アキノタムラソウ ノギラン
オオハンゴンソウの群落
ニガナ シジバリ
オミナエシ チダケサシ
オトギリソウ コケオトギリ

なんと中部地方中部以北にしか自生していないと思っていたこの花が立派に咲いてまわりの草木に溶け込んでいた。
何年か前に初めてこれを見た時は、まさかこんなものがとちょっと驚かされたものである。
これがホザキシモツケであると確認でたのはそのあとだったが、どうやら昔この地域が牧場だったころ何かについて紛れ込んだのが、今こうして立派に花をつけてたのではなかろうか。

ホザキシモツケ

これだけの紙面では紹介しきれない花もたくさんあったが、この八幡湿原もお盆を過ぎると、花も入れ変ってまた新たな花が目を楽しませてくれるだろう。時間があればまた来て見たいところがこの八幡地区である。
 


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