滝とは 種々の河底の傾斜が急に変化する場所を遷移点という。この遷移点の落差には大小があるし、傾斜や形も多様である。ここを流れ落ちる大小の河川を一般に「滝」と称しており、いろいろな形や規模による違いがある。


滝の名前のつけ方 (1) 形状によるもの
  竜頭の滝、白糸の滝、魚切の滝、そうめん滝など
(2) 二組の滝
  夫婦滝、雄滝・雌滝、大滝・小滝、姉妹滝など
(3) 三組の滝
  三滝、三段の滝、一の滝・二の滝・三の滝(藤尾滝、品の滝)など
(4) 段数によるもの
  二段滝(三段峡)、三段滝(三段峡)、四段滝(竜頭峡)、五段滝(深山峡、中津川上流)など
(5) 環境によるもの
  深山滝、奥の滝など
(6) 本流と支流の結合点にかかる滝
  出会滝など
(7) 地名をとる滝
  二河滝、二級滝、藤尾の滝、吾妻子の滝、など
(8) 宗教的な滝名
  観音滝、権現滝、那智の滝、比丘の瀬滝、塔明の滝など
(9) 物語や伝説からとられた滝名
  次郎五郎滝、お岩淵など



滝はどうしてつくられたか 滝は幼年期から壮年期にかけての地形に多い。幼年期は土地が隆起して浸食が開始された初期のころからであるため、山頂と海面との高さの差は最も大きい時期である。したがって河川の下流の侵食がひどく、そのため谷は深くて狭い。そして河川は何段もの滝をもっているのが普通であった。その他、滝はいつまでもつくられた位置にとどまることなく、次第に後退して河底を低下させ、滝が後退したあとには渓谷がつくられていく。
直線流路にかかる滝は、断層の強い節理(岩の割れ目)がもととなっている場合が多いが、滝を形成する直接の要因としては次のようなものが考えられる。
 (1) 断層
断層がつくられ河川の下流側が急に低下すると、その地点に断層面に沿って滝ができる。また、逆断層の場合にも、上流か隆起すれば滝ができる。
 (2) 節理(岩の割れ目)
基盤岩が垂直に近い節理や、縦に密集した節理をもつ場合には、これが断層と同様な働きをして滝をつくる。
 (3) 岩の硬度差
岩盤には河水の侵食に対して強いものと弱いものがある。一般には火成岩は強く堆積岩は弱い。軟硬両岩が水平に重なっていると硬い岩が滝を造る層となり下部の柔らかい岩が侵食されて垂直的な滝をつくる。硬軟両岩の層が垂直方向に接していると、下流側の軟層が早く侵食されて硬層が残るため滝をつくる。
 (4) 本流と支流の接合部
本流の流量は支流の流量より一般に多いから、支流の侵食による河底の低下速度は本流の侵食による河底の低下速度より遅れる。そのために接合部では本流の川底と支流の川底との間に落差を生じて滝をつくることが多い。
 (5) せきとめ
火山活動で流出した溶岩や火砕物が河川に流れ込んで流水をとめると華厳の滝のような滝をつくる。
また、泥流など堤防ではすぐ流失する場合、人工的な堤防をつくって人工滝をつくったものもある。広島県では甲山町の権現滝はため池をつくったことによる排水用の掘り割りをつくったことにより、その排水が人工滝をつくったことで有名である。
 (6) 河川にかかる滝の位置
本流ににおける屈折部ではその上流側にあるもの、屈折部の中央部にあるもの、屈折部の下流側にあるものの三つの型がある。
本流が屈折し支流方向に合流する場合は、支流方向の谷が断層かはっきりとした節理に沿っている場合。
支流が本流に合流する地点では、本流の侵食力が強いので合流点に落差ができる。  
屈曲部につくられる。
上流部が二股になっている場合、股の下にかかる滝。股の上流側では右股・左股、あるいは両股にかかる。(左股にかかる例:二の滝、右股にかかる例:品の滝三の滝)
上流が三ツ股になっている場合、その全部に滝がかかっている場合。(恵下谷の滝)そのひとつだけに滝がかかっている場合。(夫婦滝)
  


滝の移動 (1) 滝の後退
滝をつくっている岩は、流水により運ばれる岩石片によって削られたり、水中にできた気泡が急激に壊れることによりすり減る等によって侵食され後退する。
また、洪水時に隙間のできた節理によって壊れて落ちてしまう場合や流量の多い滝では滝つぼがえぐられてオーバーハング状となり上部が崩壊する場合などがある。
これらは滝の形状や岩質によっても後退の仕方は変わってくる。
(2) 滝の進行
岩盤の節理が上流側に傾斜している場合や、硬部の滝を造る層の下に軟層がある場合、または滝の水量が大で常に滝つぼが上流に向かって広がっている滝は垂直に近い滝となってくる。
(3) 滝の消滅
滝は一般に何段もの滝に別れているが上段の滝がすこしづつ後退して滝が分かれることにより縮小していく。また、岩の節理がゆるく下流側に傾斜していると、次第に節理に順応して緩やかな滝となり、淵に、そして瀬となりやがて消滅する。


広島県の地形 広島県の地質は面白い。南西方向から北東方向に断層が走っており、800〜100mの平坦面の「高位面」、400〜500m高原状の平坦な「中位面」、中位層の下に標高200m以下の「低位面」の3面の階段状地形をつくっているのが大きな特徴である。
そして、階段状地形の断層に沿って種々の渓谷や滝が見られるのである。


広島県の地質と滝 広島県の全面積の約1/3は花崗岩、そして1/4は流紋岩類となっている。
その次に多いのが古生層であり砂質と泥質の地層とともに石灰岩層も多く、これに比例して滝も存在しているようである。
(1) 花崗岩にある滝
花崗岩は県内に広く分布しており、羅漢渓谷・万古渓・加計深山峡・石ケ谷峡・南原峡の滝、錦竜の滝、妹瀬の滝、草摺滝、二河峡・二級峡の滝、宮島白糸の滝、向山本郷の滝、吾妻子の滝、女王滝、瀑雪の滝、昇雲の滝、三郎のすべり滝など数え切れない位多い。
(2) 流紋岩にある滝
流紋岩は備北地方に多く、花崗岩に比べて風化に強いことから高い滝が多い。芸北・芸南・備南沿岸と広範囲にある。芸北の魚切滝、奥三段峡・三段峡の滝、豊平駒ケ滝など。芸南・備南では、呉白糸の滝、安芸津夫婦滝、竹原三滝など。備北では那智の滝、日野滝、手洗滝、高野雄滝・雌滝、品の滝、八千代滝、常清滝などとこれも多い。
(3) 古生層にある滝
古生層の砂質と泥質、石灰岩層にある滝には、細見谷の滝・瀬戸の滝・藤尾の滝・山野峡の滝など、そうめん滝は石灰岩の洞窟から流れ出ていることで珍しい。


参考図書:広島県の滝


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